みなさんこんにちは。秋も深まりいよいよ駒場祭まで1ヵ月を切ってきました!
「ジンブンプリズム」
今回の駒場祭の企画コンセプトは「ジンブンプリズム」です。プリズムとは複数の色の光が混ざって出来ている光を分光する、つまりそれぞれの色ごとに分ける機能を持った器具のことです。これは、我々の考える、世界に対する「人文学」の関わり方を表現する上で重要な示唆を与えてくれます。
「人文学」はそこにある、あるいはあった、世界という混沌とした情報の塊を、そこに属する学問分野それぞれの視点から分節化し整序して記述し、その結果、世界あるいは人間という存在の解像度を向上させることができます。それはちょうど、どのような性質を持つのかわからない、混沌として1つに合わさった光を分光してその構成を明らかにする、「プリズム」の機能のようなものといえるでしょう。
| 世界を「分光」する |
我々は今回、この「人文学」がもつ、世界に対する「プリズム」としての性格と、それを実現する人文諸学の学問的営為を紹介するということを企画の目的の中心に据えました。そしてその営為が私たちの身の回りに存在していることを示し、さらには「ジンブン」学と「ジブン」の意外なほどに近い距離の中に多くの人を巻き込んでいくことを目指しています。
そうだ、「人文学」しよう
日常とアカデミア、あるいはもっと広くとって学術というものとのかかわりは、私たちの身の回りに溢れています。例えば今この記事を書いているノートPCも、あるいは住んでいる家も、街のインフラも、長年積み重ねられてきた研究と技術開発の賜物です。
そして私たちはこのように成果物を通して間接的にのみ、学術に触れているというわけではありません。日常が学術の成果物に取り囲まれている一方で、学術も日常の内に巻き込まれています。学術は日常の中で、それを生業としていない人にも伝えられているのです。それは学校教育であったり博物館・科学館での展示であったり、「科学実験」をウリにしたテレビ番組やYou
Tubeの動画であったりします。このようなコンテンツを提供する際によく使われるフレーズが「〇〇を科学する」です。対象にはさまざまなものが当てはめられますし、その中には私たちの身近に存在しているものも多いといえます。
ですが学術の領域に含まれるのは(自然)科学だけではありません。そして、(自然)科学ではない他の「学術」諸分野も、日常に大きなかかわりを持っていることには変わりがないのです。だからこそ、人文学に携わる私たちは考えました。「〇〇を『人文学する』」ことも可能ではないか、と。
しかし、そこには1つの問題がありました。それは「人文学する」ことの定義を、我々は明確にすることが出来ない、ということです。(自然)科学には比較的共通した方法論や思考法が存在してます。しかしながら、「人文学」諸分野にはそのようなものはない、とまではいわないにしても希薄です。
なぜならば、我々が定義する「人文学」とは「人の文=テクストや文脈=コンテクストを問う学問」というものであるからです。この定義はある「学」の範囲をその対象によって措定しようとするものであり、その方法によって定義しようとするものではありません。また、ある学問が「人文学」であるかどうかは、その対象が上で上げた定義に当てはまる属性をどの程度持っているか、ということで決まります。
つまりここにおいて「人文学」の境界は可変的になり、それゆえ、「人文学する」ことの意味もまた、固定的ではありません。
ではこのような状況のもとでどのように「人文学する」か。上述のような「人文学」の定義のあいまいさはその茫漠としたとらえどころのなさだけではなく、それが多様な方向に開かれた可変性を持っているものであることをも意味しています。
だとするならば、その多様な方向に向かう開かれ方そのものを開示していくことが「人文学する」ことの1つの可能性として示せるのではないか。我々はそう考えました。
「ジンブンアトラス」
多様な「人文学」のあり方を示すには、「人文学」が1つのものに対して多様な見方を提示する過程を演示するのがよいといえます。ということで我々が今回企画のメインに据えたのが「ジンブンアトラス」です。
「ジンブンアトラス」は1つの絵や写真、映像、文書などの「テクスト」に対して、メンバーがそれぞれの専門分野の視点からコメントすることで「人文学」の広がりと思考過程を明らかにしていくことを目的にした企画で、昨年の駒場祭と今年の五月祭でも同じ構成の企画が実施されました。
「アトラス」では、1つの「テクスト」に多様な分野からコメントが投げかけられることで、それまでになかった視点から物事をとらえたり、自分が依拠している視点を相対化しようとする試みが生まれます。実際メンバーの間でコメントを編集しているときも、お互いに新たな「発見」を得ることができました。
「アトラス」では、1つの「テクスト」に多様な分野からコメントが投げかけられることで、それまでになかった視点から物事をとらえたり、自分が依拠している視点を相対化しようとする試みが生まれます。実際メンバーの間でコメントを編集しているときも、お互いに新たな「発見」を得ることができました。
今回のテクストは
①「マラソン」
②「動物園」
③「民話」
以上の3点を設定しました。現時点では「ネタバレ」防止のために抽象的なキーワードとぼかしを掛けた画像をお見せしています。
今回設定されたテクストに共通する性質として、「日常」との距離が近いことがあげられます。冒頭で述べたように、「日常」には「人文学」があり、また「日常」は「人文学」の対象となります。
そして、「日常」における「人文学」を問うこと、「日常」を問いの対象として取り上げることは、「人文学」を「研究」している人間の特権ではないですし、そのような人間だからといって十全になしうるものでもありません。それゆえ、我々がここで掲げるテクストとそれに対する解釈は唯一の正解ではないですし、完全なものでもありません。完全でない以上、そこには新たな発見の可能性が開かれています。
そしてその可能性のゆえに、「人文学」は「日常」を問いの対象として意識するすべての人に開かれているといえます。それはつまり、この「テクスト」を見て何かしらの感想を抱いたすべての人間に、「人文学」への参与の可能性は開かれている、ということでもあります。
さあ、「人文学」しよう
「人文学」の営みは、多様な視野からの問いを重ねていくことで不完全な記述の「空白」を可能な限り埋めていく過程でもあります。それはすなわち、「人文学」の多様な分野の視点を通じて1つのテクストについての地図=「アトラス」を描くことなのです。
「ジンブンアトラス」はこの営みを提示していますが、繰り返し書いているようにそれは完全ではありません。それは、多くの視点から繰り返し多様な記述を加えられることによってブラッシュアップされていくものです。この営みは、けっして我々だけで完遂できるものではなく、学園祭の展示の場に来場してくださるすべてのみなさまとともに練り上げられていくものなのです。
その意味で「ジンブンアトラス」は動態的ですし、もっと言えば、展示を訪れるタイミングごとに少しづつ違った装いを見せるものであるはずです。そして、その異なった装いを見せる「アトラス」が新たなコメントを生み、「アトラス」はさらにその姿を充実させていきます。この開放性と流動性を基調とした万人による営みこそが、我々の掲げる「人文学」です。
駒場祭にご来場のみなさま、一緒に「人文学」してみませんか?
【画像引用元】
※ネタバレを含みますのでご注意ください※
「ジブン×ジンブン」企画ID:356
第70回駒場祭にて開催
東京大学駒場キャンパス(東京都目黒区 京王井の頭線・駒場東大前駅東口よりすぐ)
交通アクセス・キャンパスマップはこちら
会場:東京大学駒場キャンパス
21 KOMCEE West4階 K402教室
日時:2019年11月22日(金)9:00-18:00/11月23日(土)9:00-18:00/11月24日(日)9:00-15:00
※24日(日)のみ終了時間が早まりますのでご注意ください。
入場料:無料(任意カンパ制)
0 件のコメント :
コメントを投稿