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4回目の投稿はジブン×ジンブン運営メンバーの1人の春野(はるの)が担当させていただきます。
なにをしているのかちょっとだけ紹介
わたしは東京大学大学院 人文社会系研究科 基礎文化研究専攻 形象文化 美術史学研究室に所属している修士1年です。
みなさんは東大文学部といえば、安田講堂近くのイチョウ並木沿いの由緒ある建物(内田ゴシック)のイメージですよね?
しかし美術史学研究室はそこにはありません。赤門の裏側にひっそりと存在してます。
同じ文学部生からも研究室どこにあるの?とよく聞かれます。
元気な経済学部と教育学部に囲まれて怖いので、基本的に外には出ず、地下書庫や研究室にこもっています(笑)。
| 研究室の廊下には全国の展覧会のポスターが貼られています。 |
東京大学文学部についてより良く知ってもらうと共に、美術史学を知る手伝いになるかなと思います。
文学部及び人文社会系研究科は、「人間とは何か」を考える学部です。
よく勘違いされるのですが、文学についての研究がメインではなく、それは一側面に過ぎません。
文学部の「文」は文字や文章だけでなくコンテクスト(文脈)を指す、そしてコンテクストは人間が生み出した全てのものに存在している、我々は文脈を解き明かすのだ
とは2016年度文学部進学ガイダンスでの前文学部長熊野純彦教授の言葉です。
では文学部と人文社会系研究科の中にはどのような研究が行われているのか、下図をご覧ください。
| ※思想文化・歴史文化・言語文化・行動文化の4学科は2017年度より人文学科に統合されましたが、緩やかなまとまりとして残っています。 |
企画の「ジンブン」に関わる学科は色付けしました。(思想系:紫、歴史系:ピンク、言語系:水色)左が文学部(学部3〜4年)、右が人文社会系研究科(修士1年〜博士)です。
学部には27専修課程、院には29の専門分野があり、幅広く人間を探求していることが見て取れますね。
ところで、表を見てもらうと分かると思うのですが、左と右で分かれ方が異なってますよね。
例えば、私が学部生の時に所属していた美術史学専修は、左の学部では歴史文化学科に入っていますが、右の院では基礎文化研究専攻の形象文化に属しています。
これは学部では美術史学を歴史学として捉え、一方院では美術の普遍性と美術史が”モノ”を扱うことに注目しているからです。
このように学部では学問の系統(哲史文行のいずれか)、院では地域性と普遍性によって人文学は分類されています。
前置きが長くなりました。では美術史学とはなんでしょうか。
雑に、いえ、簡単に言えば、美術品、美しいという価値が世の中広くに認められている造形物を通じて人間の本質や過去を解き明かす学問です。例えば
・誰が何の為に作ったのか?作らせたのは誰なのか?なぜこのタイトルなのか?
・どうして今の場所にあるのか?なぜ人の手に渡ったのか?
・どうして流行ったのか?後世に与えた影響は?逆に誰から影響を受けたのか?
といったことを考えています。
研究対象は絵画や絵巻物だけでなく、彫刻や工芸品、写本、建築、衣類、古くは古代文明から現代までを範囲とする、縦にも横にも幅広い学問です。
先輩の中にも、中央アジアのイスラム化以前の美術表現や古代ローマの庭園画、戦中戦後の日本美術など様々な分野の方がいます。
まぁ美術館で見られるものについて頭抱えて考えている人たち(展覧会を作っている人たち)って思ってもらえればオーケーです。
| 私の図録コレクションの一部です。 本当に様々な種類の研究が行われています。 |
さて、やっとわたしの研究の話です。
わたしの専門は19世紀末の芸術運動、特にアール・ヌーヴォーと象徴主義。
中でもアルフォンス・ムハ(フランス語発音のミュシャの名前でご存知の方も多いと思います)について研究しています。
彼は優美な女性像と曲線的なデザインのポスターで一世を風靡したのち、自身の祖国のために宗教と民族色の濃い作品を描くようになったことで有名です。
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| 〈黄道十二宮〉1896年、シャンプノア社のカレンダー |
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近代国家システムの誕生と民族主義の台頭、
かつての帝国が揺らぎ始め、ヨーロッパのあちこちでアイデンティティが「創生」されます。
ムハの生まれた時代、チェコはまさにその動乱の最中でした。
アイデンティティ創生の為に文学が果たした役割はとても大きく、その文学作品を元に多くの美術作品が生まれました。
政治だけでなく、美術界も大きな転換を迎えていました。
芸術アカデミーの絵画から飛び出した新しい絵画が登場したのです。
絵画に対する新たな考え方、物事の新しい価値観、新しい技術がその後押しとなったのです。
人も物も考えもこれまでとは比べ物にならないくらい激しく行き交い、新しいものが生まれ続けたエネルギッシュな19世紀末。
どことなく今と似ているようで、より退廃的な雰囲気漂う世紀末。
ムハは社会と美術の関わりが深まったこの時代の象徴的な存在であると、わたしは考えています。
彼を知ることで、今に繋がる19世紀末の社会・人々と美術の関係性を明らかし、
更にそこから美術作品とは人間にとってなんであるのかを示せたら、と思っています。
好きなこと
・美術館や博物館に行くこと元々これはライフワークになっているので好きというか行かないとお腹がムズムズします。
これまで行った館や展覧会のチラシとチケットは全てファイリングしてあるのですが、時々見返してニヤニヤしてます。
図録は本棚壊して親に怒られたので最近は買うのを控えています。
オススメなのはロンドンのウォレス・コレクション。
よくこの狭い空間にこんなにいいものたちを、こんなに沢山詰め込んだなぁと驚きます。目が足りない。
・野球観戦
埼玉西武ライオンズのファンです。優勝しました!!!!10年ぶり!!!
好きな選手は赤田将吾。彼の両打席ホームランとスポーツマンNo. 1決定戦総合2位はわたしの中の伝説です。
野球に限らずいろんなスポーツを見るのですが中々話が合う人がいなくて寂しいです。
ラグビーとWRC好きな方いたら話しましょ。
・Fate/Grand Order
わたしには珍しく長く続いているゲームです。
神話や歴史が好きでファンタジーとバトルものが好きなのでハマるべくしてハマりました。
美術史学っぽい話をしますと、有名な話かもしれませんが、
一部の概念礼装が有名な美術作品のオマージュになっているので、
ぜひ元ネタを!探してみてください。
サブだのカノンだのの議論はあまり好きではないのですが、
サブカルは美術へのオマージュ・美術からの影響が強く見られる分野です。
プレイする時・読む時、その先にある研究にも目を向けて見て欲しいなぁと思います。
こういうところから将来の人文学者が出ると、いいなぁ…
おすすめの本
美術史の入門書や19世紀についての本などなど迷いました。美術ブームの今、本当にたくさんの本がありますから…
そこで
・「美術」ではなく「美術史」を取り上げている
・美術史を学んだ人が書いている
・読みやすく、すぐ読み終えられる
の3点を重視し、この本を選びました。
〈西洋美術史を学ぶ〉ということ 高階秀爾、千足伸行、石鍋真澄、喜多崎親
高階先生、千足先生、石鍋先生の鼎談をベースに、
今の時代に大学で西洋美術史学を学ぶことがどのような意味を持つのか、何の役に立つのかを考える本です。
前半は先生方と西洋美術史の関係性、後半は日本で西洋美術史を学ぶ意義について語られています。
私は学部1年生の時に、
これから進もうとしている学問は何のためのものなのか知りたい、
と思い、この本を手に取りました。
今でも時々読み直し、美術史学とは何か、考えています。
ただ、この本に書いてあることは「正解」ではありません。
この本を読んで、美術史学から私たちが学べることは何か、皆さんが考えてほしいと思います。
次回からもよろしくお願いします&担当する企画紹介
私は「論文ができるまで(仮題)」というコーナーを担当させていただきます。私たちが最も簡単に触れることのできる「ジンブン」の研究成果は何でしょうか?
それは、本です!!
毎年、分厚い学術書から写真がたくさんのムック本まで多様な本が出版されています。
これらの本がいったいどのように作られているのか皆さん気になりませんか??
このコーナーでは大学の教授たちがどのような思考プロセスを経て、
本という一つの形に考えをまとめているのかをチャートにして紹介します。
このコーナーを見たら、今まではとっつきにくいと思っていた本も、
違って見えてくるかもしれません。
それでは11月23日、駒場キャンパスでお会いしましょう。
「ジブン×ジンブン」企画ID:386
第69期駒場祭にて開催東京大学駒場キャンパス(東京都目黒区 京王井の頭線・駒場東大前駅東口よりすぐ)
会場:1号館1階 112教室
日時:2018年11月23日(金)9:00-18:00/11月24日(土)9:00-18:00/11月25日(日)9:00-17:00
※25日(日)のみ終了時間が早まりますのでご注意ください。
入場料:無料(任意カンパ制)



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