メンバーのご挨拶&おすすめ本紹介③【木村編】

戦前に発行された、個性豊かな神道系雑誌たち。(筆者所蔵・撮影)
はじめましての方ははじめまして、そうでない方はお世話になっております。
自己紹介企画もすでに3回目。
「ジブン×ジンブン」同人のひとり、木村悠之介と申します。

なにをしているのかちょっとだけ紹介

わたし木村は、
「東京大学大学院 人文社会系研究科 基礎文化研究専攻 宗教学宗教史学専門分野」
というところに所属している、修士課程の1年生です。
(太字のところだけ読んでもらえれば、たぶん大丈夫です。)

所属先の通称は、「宗教学研究室」。
「宗教学」という言葉じたい、
語りはじめるとキリのない事情があったりなかったりするのですが、
ここでは置いておきます。
『宗教概念あるいは宗教学の死』という恐ろしいタイトルの本があったりします。)

とりあえず宗教学研究室は、
「宗教」あるいは「宗教的なもの」に関係することならなんでも研究できる場所です。
古代中国の儀礼からAI時代の「オンライン宗教」まで
千差万別百花繚乱、理論研究に文献学にと、実に多岐にわたるテーマが扱われています。

そんな宗教学研究室で木村が研究しているのは、一言でいえば「近代神道史」です。
「神道」というと、何か古いもの、というイメージがあると思います。
でも、「神道」は決して古い時代だけのものではありません。

あるいは、「「国家神道」という言葉ぐらいは聞いたことがある」
という方もいらっしゃる……かもしれませんね。
だいぶ近くなってきました。

「国家神道」とは何か……という問いには侃々諤々の議論があるので、
ここでは触れないでおきましょう。
(議論について詳しく知りたい人は、来たる10月20日に山川出版社から刊行される
『戦後史のなかの「国家神道」』 をぜひ読んでみてくださいね!)


それよりもこの「国家神道」という言葉、明治時代の後期
1890年代には登場してくるものです。
実はこの明治後期という時代には、「神道を改革しよう」という主張が、
神道に関係する様々な新聞・雑誌メディアの上に現れてきました。

「神道改革」を主張する記事の一つ。(『教林』第52号、1897年より。筆者所蔵・撮影)
木村の研究テーマは、この「神道改革」という思想あるいは運動が、
新聞・雑誌などのメディアに支えられつつ、
どのように学問としての「神道学」に繋がっていくのだろうか、ということです。
(戦前には東大に「神道研究室」なるものがあり(!)、
「神道学」という学問が行われていました。)

今までに出た「ジブン×ジンブン」メンバーの自己紹介では、
廣川さんが明治初期という時代に関して、以下のように述べていました。

西洋から新たな文化がわんこそばのごとくモリモリと入ってくるわけですが、それらをどうやって「受け入れたか/受け入れなかったか/アレンジしたか」こそが私の関心です。

木村も、扱う時代こそ明治後期~昭和戦前期と少しズレていますが、
根本的な関心はまさにここにあります。
すなわち、「神道を改革しよう」という様々な主張からは、 
「神道」を担っていた人々が、例えば「科学」のような、いわゆる「西洋」的、
「近代」的なものとどのように向き合おうとしたか
という問題を垣間見ることができます。
(そもそも新聞や雑誌というメディア自体が、明治後期以後、
全国を結ぶ鉄道網の整備によって爆発的に広がっていく近代的な消費物です。)

そのようなテーマのため、木村は研究のほとんどの時間を、
戦前の雑誌を読んで過ごしている、と言っても過言ではありません。
新聞や雑誌といった熱い議論の場からは、当時の人々がどんなことを考えていたのか
がありありと伝わってきて、とてもわくわくします

好きなこと

思わず研究テーマについて語りすぎてしまいましたが、
そんなわけで古本を買ったり図書館に行くのが三度の飯よりも好きです。
(実際、お昼ご飯をすっぽかして史料を読みふけることもしばしば。)
東大の中での推し図書館は、法学部の「明治新聞雑誌文庫」。
錦絵などの資料の一部はオンラインでも見られたりして、なかなか楽しいですよ。

サークルだと、「東大まんがくらぶ」で似顔絵を描いていたりします。
今回の駒場祭では当企画との兼ね合いもあるので、どれくらい描けるか分かりませんが。

おすすめの本

近代日本宗教研究のわくわく感」を味わえる本としておすすめなのが、
法藏館という仏教書専門の出版社から2016年に出た『近代仏教スタディーズ』です!
欧米の「仏教」ブーム、メディアと演説、社会問題、戦争、キリスト教との出会い……。
実に多種多様なトピックが散りばめられており、好きなところから読むことができます。
写真図版のほか、仏教者たちの似顔絵も随所に登場しており、
眺めるだけでも楽しい本です。
ソフトカバーだし、手に取りやすい……はず。
(『近代神道スタディーズ』もどこかから出てほしいものです。)

ついでに、廣川さん同様、岩波ジュニア新書からも一冊紹介しましょう。
つい先日、9月20日に刊行された松沢裕作著『生きづらい明治社会』です。
 「通俗道徳」と「自己責任論」を鍵にして明治と現代の「生きづらさ」
パラレルに描かれるこの本は、読んでいて少しつらくなります。
 それでも、近代に生きた人々の姿を垣間見るためにはよい本でしょう。
(いわゆる「明治150年」たる今年読むのには、

もしかするとふさわしいかもしれませんね。)

担当する企画紹介

・「ライブラリースペース」
「人文学を学ぶための本」「○○学の入門に適した本」「自分の研究の原点になった本」

……そういった、様々な本を紹介するコーナーです。
実際の本を展覧するほか、各メンバーセレクトの人文学ブックリストも配布します!

・「東大大学院の研究室紹介」
廣川さんと同じく研究室紹介コーナーを担当します。
廣川さんが駒場担当、木村が本郷担当です。

当日は112教室にてお待ちしております。
それまでは当ブログにて、引き続きよろしくお願いいたします!

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